連想

いやはや毎日いろんなことが起きるものですね。地震・原発・ビンラディン・ユッケ・・

ユッケですぐ連想したのが「ファーストフードが世界を食いつくす」エリック・シュローサー著・草思社。アメリカ産食肉加工の現実を知りたい方にはお勧めの本です。分厚い本ですが、スピードと効率をギリギリまで追い求めて作られる牛肉や鶏肉など食肉巨大企業体の裏側が嫌というほど載ってます。2001年の本。

ご関連のお仕事の方には大変申し訳ないのですが、私は某M社のハンバーガー屋にはもう10年近く入っていません。

アメリカ産牛肉・・英語も分からないような国外からの不法滞在者が食肉処理を機械のようなスピードで危険極まりない状態で働かされています。不法滞在だから経営者の言うがまま、どんな大怪我をしても問題は決して表面化しません。

肝心の肉は、解体時に大腸を傷つけ病原性大腸菌が食肉に付く可能性が高いですが、アメリカではO-157に汚染されたハンバーガーで毎年かなりの人の重症・死亡事例が後を絶ちません。アメリカではユッケではなくハンバーガーで食中毒が多発しているのです。

 

ちょっと前に問題になったアメリカ産狂牛病の危険部位輸入問題。牛を解体しているのが不法滞在という最下層で言葉も通じないような人達ですので、危険部位を切り分け分別するなんて最初から無理な相談なのです。

 

安い食べ物には必ず裏があります。

 

安くて安全な食べ物なんて消費者の幻想なんです。今回のユッケの問題でもやはり安売り店でしたね。

 

M社の安いハンバーガーの牛肉は、どこ産でどうやって作られているかご存知ですか?安い不法滞在者の危険という差別の上に成り立った安さだとしたら考えるところ大です。私は食の生産者の一人ですので、食の裏側もなるべく知るようにしています。

 

一方、日本の食肉解体処理の世界をご存じな方はかなり少ない筈です。多分世界一知らない国民だと思います。

どうして私達があまりにも屠殺や食肉処理について知らないかというと、江戸時代(実はもっと前から)脈々と続いている差別があるからなんですね。このカラクリと背景はタブーも絡んで見えにくい、日本特有の現象と言えるかもしれません。

 

福島原発も六ヶ所村再処理工場も東北の過疎地に作られました。都会からすれば過疎地は可哀そうな、でも都会の危険を負担してくれる同等ではない一段も二段も下の存在です。

 

沖縄基地問題も、今も昔も国民が安心して暮らしていくためのアメリカ軍の基地負担を過分に担っています。とても本土と同等ではありません。

ちなみに在日アメリカ軍の日本の財政負担が「思いやり予算」。名付けの親に会ってみたい。

 

ジーンズがなぜ安いのか、コーヒーは?バナナは?ダイヤモンドは?どうやって誰の手で作られているのか。どれを取っても世界銀行も絡んだ巨大な農産物メジャー企業による搾取の構造です。その辺のことはもう古い本ですが「世界の半分はなぜ飢えるのか」(スーザンジョージ著・朝日選書1984年)という本に詳しく紹介されています。私が農業を始める前に非常に大きな影響を受けた本です。http://journeytoforever.org/jp/foodfirst/report/hunger/12myths.html

それに対して搾取のない貿易を目指して始まったのがフェアトレードですね。

 

「安ければ安いほどいい」と言うNO天気な常識と、その安さを支える差別と裏側。それらを知ると、何も知らずに豊かさ(安さ)を享受している自分が馬鹿に見え、何とも言えないやるせない気持ちになります。

 

世界は不条理で出来ています。この不条理はなくなることはないでしょう。ほとんどの問題の根は同じところにあります。

そんなことを四六時中考えてたらおかしくなっちゃいそうってなもんです。

でも、たまにでいいから不条理に思いを馳せてみます。たまにでいいから。

一人の力なんて恐ろしく小さいものですね。

それでも「小さい」のと「無い」のとでは意味が全然違うと思うのです。

だから、小さい存在だけど、どんな問題も知った顔して「しょうがない」とは思わないし言わない。

 

大学の先生が「知れば知るほど不幸になりますよ」と言っていたのを最近はよく思い出します。でも私にとって「知らない、知ろうとしない」という不幸はそれ以上にたまらなく不幸だとも思えてきます。アララ、どちらにしても・・!

「人生は苦である」と達観した釈迦はやっぱ凄いなぁ。

会ってみたかった。

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コメント: 2
  • #1

    W氏 (月曜日, 09 5月 2011 14:54)

    YMCAの理念を言い換えると「私たちは微力ではあるが、無力ではない」でしたね!!

  • #2

    みーま (木曜日, 12 5月 2011 14:21)

    映像で観るともっとよくわかりますよ。
    「フード・インク」「ありあまるごちそう」月末に今池シネマテークで再上映。そして「いのちの食べかた」。
    みんな、恐ろしいものを気軽に食べています。ああーーー。
    知らずに食べているのか、それとも知ってて・・・・。
    生活そのものを見つめ直す時期が来ているのではと最近よく思います。