研修のお陰で精米の時には今まで以上に玄米を興味深く見るようになりました。粒の表面に溝があるのが分かりますか?これが深いと等級が落ちます。
でもね、等級なんて誰かが汗水垂らして一生懸命に作った事に比べれば、どうでもいいとは言わないけれど、本質からはかなり離れた制度です。
お米の等級検査は食管法の歴史の中で、やっぱりお米を仕入れる米穀業者の為にあるような制度で、とても農民の為にあるとは私には思えません。
今はどこの精米施設にも色彩選別機という高精度の選別機があるので、余程悪いお米でなければ,見た目はほとんど変わらない商品の仕上りが可能です。するとどうなるか・・お米屋さんとしては同じ見た目に商品ができるなら、安く仕入れられる等級が低いお米の方がいいですよね。
それで一等米よりも二等米、二等米より三等米、三等米より規格外の安いお米の方が市場から早く売れていく変な逆転現象が起こります。
一方,現代の農家にとって買い取り価格の高い一等米の作り方は実は意外に簡単です。少し乱暴ですが分かり易く言えば、一等米と言われるきれいな玄米を作るには、①殺虫剤をたくさん使って害虫を殺し、虫食いのお米をなくします。②殺菌剤をたくさん使って病原菌を殺して菌からお米を守ります。
殺虫剤・殺菌剤を使えば使うほど、きれいな一等米が出来上がるのです。逆に殺虫剤・殺菌剤を使わないか抑えたお米は等級は相対的に落ち一等米を取るのは概して難しく、二等・三等・規格外のお米と判定されることが多くなります。消費者としては、どちらが本当の意味での一等米でしょうか?私には現状は利権の絡んだ古い制度にしか映りません。
等級検査では、着色粒と呼ばれるものに関して言えば、どんなに玄米がピカピカでも1000粒のうち虫食いのお米がたった2粒あれば、即1等米から2等米に等級は落ちます。更に1000粒のうち虫食いがわずか4粒あれば3等米。1000粒のうち虫食いが8粒あれば規格外に判定されます。僅かな虫食い以外のお米が全てピッカピカなお米でもダメです。
>>>そしてこの程度の虫食いの数のお米なら、お米屋さんは必ず持っている色彩選別機で残らず除去できます。
商品としては、一等米だろうが三等米だろうが、どちらも虫食いのないお米に仕上がるのです。お米屋さんとしては、同じ仕上がりになるならワザワザ高い一等米を買うより、安い二等米三等米を仕入れた方が得です。だから等級の低い、安いお米の方が早く市場からなくなる訳です。
私は今、等級検査員になる為の研修に通ってますが、実はこのカラクリにはもう10年以上前から気付いています。私にとって時代錯誤の等級検査自体に意味はほとんど認めていません。それでも、敢えて農民として検査員資格を取ろうとしている訳は・・・また今度聞いて下さいまし。
コメントをお書きください