農村伝説

コンバインに軽トラ2台、トラクタートレーラー
6台の乾燥機と籾摺り機、張込みスパイルに
コンテナとフォークリフト、計量機と色彩選別機、
シャベルローダに昇降機、網選別機に集塵機、
三相電源にバキューム運搬機にコンプレッサー
etc etc…
それぞれにエンジンやモーター、
テンションやベアリングがついていて
それら機械群がどれひとつ故障することがなくて
はじめて稲刈りから籾摺りを経て玄米になる。

ところが
これだけの機械類があれば毎日日替わりで
どれかが故障したりヘソを曲げて動かなくなる。

 恐ろしいことにどこか何かの機械のネジが
たった一つ飛んだりポキッと折れただけで
どれほど忙しくても全ての作業が止まる。
そしてそれは実際に
よく飛んだり折れたりするのだ。

綱渡りの毎日。
薄い氷の上をいつ落ちるのだろうと
心配しながら歩いている感覚に近い。
昨日はモーター、今日は電源と乾燥機のトラブル。
さて明日はなにが起きるのだろう?

ほんのたまに完全ノートラブルの日もある。
何も無くてよかったと思えばいいのに
そんな日は逆に何かもっと大きな事件が
起きそうな気がして余計に気持ち悪い。

農機具屋さんは「機械を褒めちゃダメ」
と80%くらい本気で言う。
曰く、褒められた機械はそれを聞いていて
気を抜いたり図に乗ったりして
褒められてからすぐ故障するのだと。

 それって…
もちろん気のせいなのだろうけど、
「もしかしたら本当なのかもしれない」と
経験上何度も思ったことがある。