アハハって!

家に帰って来たら隣の家のえごま農家の
奥さんが外で口を開けて空を指差し
「アハハ、アハハ!」と笑っている。

私に気付いてからも相変わらず
私にも空を見上げろと空を指差して
「アハハ、アハハ!」を繰り返している。

仕方なく私も彼女の指差す空を見上げて見るが
鳥が飛んでるわけでもUFOが飛んでるのも
その方向には何も見えない。
「アハハ、アハハ!」それでも彼女は
笑いながら空を指差すのを止めようとしない。

「な、な、なんなんだ!?」
不気味だ、実に不気味だ。

頭のいい人だったのにな。
農作業に疲れ果ててとうとう…

もう上空を見上げてる場合ではない、
どうしたものか…と彼女の顔をフリーズして
見ていると
「アハハ、アハハ!山ちゃん、太陽に笠が!」
と言うではではないか。

見上げればそこには確かに見事な太陽の傘。

よかった!
あー、彼女はこれを見てあまりに見事だと言って
太陽を指差し笑っていたのか。
よかった。
ホッとした。
まともで、よかった。
怖かった。