花盛り

白く見えるのが稲の花(雄しべ)。
今は花盛り真っ只中。
「みんなよく頑張ってるねぇ」と一本一本を
優しく撫でてあげたくなる。

だめだめ、それは受粉の邪魔。
花が咲いてすぐに稲には新しい命の誕生のため
一世一代の変化が静かに起きている。
邪魔しちゃだめ。

そもそも稲は身体のどこかに天気予報予知
能力を持っている。

自分の花粉で自分に受粉するから
軽い花粉が飛び散ってしまうような
風の強い日には花は咲かない。
逆に雨で花粉が濡れてベタベタになり
受粉を妨げるような日にも花は咲かない。

無風か微風の朝を狙って籾殻が二つに割れて
花が咲き、受粉を終えると二つに割れていた
籾殻は固く閉まりもう二度と開くことはない。
かわいそうに、役目を終えた雄しべは
籾殻の外に締め出されたまま(T ^ T)閉じられる。
それ、どことなく人間の男の姿とダブる。

もうお腹(茎)が成長した稲穂でパンパンに
膨らんで出産したくて仕方がない時も
雨続きの天気が続けば「うううう」と脂汗を
かきながら出産(穂を出す)するタイミングを
ひたすら待ち続ける。

そして待ちに待った晴れの日が来ると
「待ってました」「ドカーン」
「もう我慢できない」「産むわよ」
と一斉に穂を出し花を咲かせる。

花盛りの裏にはそんなストーリーがある。

何万年も繰り返されてきた生体メカニズム。
身体のどこで天気を感知しているのだろうと
いつも思うけど、それは永遠の謎。