ラストラン

高齢やいろんな事情で今年の稲刈りで
お米づくりを終える家と田んぼが何軒もある。

今まで大事にされ、草刈りされ、美しく、
何より人にとって一番大事な食べ物を
生産していた田んぼが役割を終える。
すると田んぼは途端に何の価値ももたない、
地主にとってただお荷物なだけの荒地に
転落する。

写真は2年前まで私が作っていた田んぼ。
たった2年でかつて田んぼで稲が葉を
揺らしていたことなんて想像できない。

猪の侵入が止まらず、作業能率も悪く
癖の強い田んぼだったけど、私が一生懸命
四半世紀作り続けてきたいろんな
思い出がいっぱい詰まった場所だった。

もう2度と田植えも稲刈りもされない田んぼ。
お米づくりを断念していく家の人の思い。
最後の稲刈りを終えた田んぼに
静かに手を合わせる。

荒地はやがて山に戻っていく。