稲刈り族

ニューギニアの奥地に出没するのは首狩り族。
こちらは日本の奥地に毎年9月だけ
出没するという稲刈り族。

この時期だけ朝から晩まで
目を血走らせながら村中の稲を
刈って刈って刈りまくりる。

この余裕のない目。
稲刈り族は稲刈りの段取りのことで頭が一杯。
特に忙しい日中はアドレナリン全開で危険。

晴れた朝、もし不用意に普段通りの
たわいもない世間話でもしようものなら、
首狩り族のような形相で
「仕事戻っていいですかね!」
と村社会のヒエラルキーなど無視して
言い放つ。

それを知ってる村の古老もこの時期だけは
超丁寧に恐る恐る話しかけてくる。

そんな凶暴な稲刈り族の弱点は雨。
特に長雨や台風はメンタルボロボロ、
まるでナメクジに塩をかけたように
絶望顔でオロオロするばかり。

そんな稲刈り族、
9月が終わると知らない間に
静かに山へ去っていくという。