石油を食べている

食糧は一般的にはカロリーベースで語られる。

が、この本では食糧を経済学、エネルギー学、
貿易など多岐にわたる視点から捉えて
非常に示唆に富んでいる。
とても勉強になった。

特に「食糧とは石油である」と看破。
その通り。

トラクターにコンバインに草刈機に軽トラック。
例えうちは「有機農業だ!」と胸を張って
みても農業とは石油エネルギーを
食糧の熱量に変換している仕事だと言える。
有機肥料も厳密に言えば石油からできている。
(もちろん太陽や雨のエネルギーも
食糧に変換しているけれど)

その変換効率、現代では
食糧エネルギー「1」を作り出すのに
石油エネルギーは「1.8」の投入が
必要なのだそうだ。

つまり私たちは石油を食べている。

世界も日本も石油を食糧に変える技術=
化学肥料や輸送や生産機械で爆発的に
人口が増えたと言う現実を忘れてはいけない。

本書では石油が止まったら日本では
3000万人(だいたい江戸時代までの人口)
しか生きられないとあるけれど
これはかなり著者の優しさで、現場農家から
するとその半分1500万人がやっとだと思う。
石油が止まったらどう見積っても日本人の
大半は餓死する。

大丈夫ですか。
経済が豊かで、平和でないと石油は買えないよ。
そんな
当たり前の現実を冷徹に突きつけてくれる本。
この本は農家としても何度も
読み直さないといけない。