誰のものか

都会では夜は人間のもの。
田舎では夜は動物や植物や妖怪のもの。

夜に稲達を見回ると、昼には見せない
野生で獰猛な顔をしていて驚くことがある。

夜には猪や鹿や狸に狐、イタチに
ハクビシンたちが一斉に動き出す。

田舎の夜と闇は私達のものではなく
彼らのものだと思い知ってゾクっとする。

光が眩しいほどの都会の夜には
畏敬の念などない。
でも私達の感覚の中には夜は恐ろしいもので
何者かに襲われるかもしれないと言う
畏怖の念がしっかり刻み込まれてる。

不安に感じる夜こそが本物だと思う。
田舎の夜にはまだ妖怪が住んでる。