馬事公苑でおもう

東京農大「農と食の博物館」からすぐ横、
JRAの馬事公苑。

新しく広々とした芝生の公園にたくさんの
家族連れが幸せな声をあげている。

うちにはかつて17年間飼っていた
馬のうららがいた。
誰もが馬なんて飼えるものではない。
毎日世話して可愛がっていたのだから
馬に対する思いは今でも人一倍ある。

うららは高齢でもう肉にされてしまう
ところを寸前で10万円で買ってうちに来た。
娘がちょうど小学生に入学する時のこと
うららは既に15歳くらいの高齢馬だったけど。
それから17年間彼女は私達に夢のような
楽しい生活を与えてくれた。

さて、きれいな馬事公苑。
JRAの年間売り上げ3兆5000億円の
予算の中から整備されている。

年間競走馬は6000〜7000頭生産される。
つまり産まれる。
その内、競走馬になれなかったまたは引退し
殺処分される馬は年間3000〜4000頭と
言われているが、少なくとも5000頭は
「処分」し続けないと日本中馬だらけに
なってしまう。

引退後の馬の行き場は乗馬クラブなど
かなり限定される。
残りは肥育場で太らされてから食用の馬肉へ、
または動物園のライオンの餌になる。

馬達には3兆5千億も稼せがせているのだから
JRAには引退後の馬の幸せな余生にもう少し
予算を使ってほしいといつも思う。

広大な芝の馬事公苑。
幸せそうな子連れの家族の幸せな声が
響き渡るたびに、走らされるだけ走らされ
稼ぐだけ稼がさせられ、その後は
人間に用済みの烙印を押され殺処分されていく
無数の引退馬たちのことをどうしても
おもってしまう。

競馬される人はそんな経緯をどこまで
知っているのだろうな。