舞台

28の時にここに来て30年が経った。

今日は東京から八百津町に移住してきた
34歳の若者がうちを訪ねて来てくれた。
熱い思いと冷静な思考を持ち合わせた
驚くほど優秀な人物だった。

30年前自分もそんな感じだったろうか?
いや、慣れぬ農作業にヒーヒー言いながら
「これよりもっと苦しいことはある」
「こんな苦労はまだまだ序の口だ」
とひたすら自分に言い聞かせ
歯を食いしばっていた毎日だった気がする。

30年も遅れて来た若者が眩しくも頼もしい。
自分たちがそうだったように、
彼らが時代を作っている。

始まりがあれば終わりが必ずある。
僕ら世代は舞台からやがて退場して行く。
今までの舞台から退場して次の舞台が始まる。
次は少し小さいかも知れないけれど、
縦にも横にももっと自由で優しくて
深く鮮やかな舞台だと思う。

いつまでも若い人を「ご指導」してる
ポーズやフリをして、自分のポジションを
確保し続けることに腐心する老い方はごめんだ。

次の世代もその次の世代もきっともっと
いい世の中にちゃんとしてくれる。
そんな風に思える人物に出会えて
気づかせてもらって、
今日はとてもしあわせな一日だった。