紅葉遅し

例年の三週間近くは遅い紅葉。

植物学者の何かの本で読んだことがある。
冬が近づき温度も太陽光も弱まると
樹木にとって葉っぱは栄養生産効率が
劣るばかりではなく、母体である木本体の
負担にすらなる。

そこで本体の木は非効率になった
葉っぱへの栄養を遮断し葉を落とそうとする。
本体から栄養を送られなくなった葉っぱは、
葉っぱ自身でなんとか生き残ろうとする。
栄養不良の中でも、生きながらえるために
抗酸化物質を生成するのだけど
その物質、ポリフェノールだかなんかの色が
人間には紅葉として映るのだそうだ。

ならば、綺麗な紅葉は死に向かう
葉っぱの最後の抵抗にも叫びにも見えるし、
逆になんとか生きようとする命の力
にも見えてくる。

人間世界で言うならば、本社の経営が
傾いたから非効率な子会社を切ってしまえ
ということになったけど、逆にその子会社は
潰されないように営業成績を上げて
がんばってる姿と言うところだろうか。

やがて最後は葉も散るけれど、大丈夫、
また春には新しい芽を出し葉を茂らす。
一度全部の古い葉を枯らすことで樹木は
リセットしより力強くなる。

人間で言うなら定年、世代交代か。
国会や組織や会社でいつまでも古い葉っぱが
若い芽が出るのを邪魔しちゃいけない。

だからやがて散る紅葉は綺麗なんだと思う。