もう二度と

11月12月はお米と甘酒の出荷に忙しく
やっと落ち着き久しぶりに田んぼで農作業。

トラクターで耕すのは今年で地主に
お返しする大小20もの田んぼ。
過疎高齢化で猪と鹿の害で被害が
止まらない、お米が作れなくなる
田んぼを言わば人員整理するようなもの。

耕すのは普通は次のお米を作るための
作業だけど、今回は綺麗にして地主さんに
田んぼを返すための、もう作らないための
ラストラン。
地主さんも高齢でもう作物は作れないから
田んぼたちには長い歴史の終わりの儀式。

30年前こんな日が来るとは思いもしなかった。
30年前こんなに長くお米作りを続けられるとは
思わなかった。

ラストランはいろんなことを思い出し
感傷に浸りながらトラクターを運転するん
だろうなと予想してたけれど、耕してるうちに
いつも通り次の農作業がやりやすいように
来春植える苗のことをいろいろ考えながら
綺麗に耕すことに夢中になっていた。

もう次の農作業も、もう次の植え付けも
ない田んぼなのに不思議だな。
もうここを耕すことはないんだな。
トラクターの運転席からからこの田んぼを
見ることももう一生二度とないんだな。

一生懸命耕し終わって
「ごめんなさい。
今までありがとうございました」
と田んぼに向かって深く深く頭を下げる。