危険だなぁ

年間米消費量700万トン。
昨年の生産量680万トン。

現在のお米価格の高騰と品不足感は
僅か20万トンが足りなくて起きてる。

700万トンの20万トンは2.8%。
僅か2.8%足りないだけで市場は
こんなにも混乱する。

農家が危機感を持って今年2.8%くらい
増産することは実に簡単。(天候不順を除外して)

価格が高騰してる今がチャンスと
今年はみんな作付けを増やす。
飼料用米を主食用米に転換する生産者も増える。
輸出より値段がいい国内市場に乗り換える
生産者も多いだろう。
つまりお米の生産量はこの秋一挙に増える可能性が高い。

もし逆に20万トンお米が余ったとしたら
今起きていることと反対にお米の価格は
一挙に大暴落する。
大暴落したらやっていける農家はごく少数。

つまりお米はちょっと2〜3%足りないだけで
高騰し、ちょっと余るだけで大暴落する
可能性を秘めている危ない商品、
価格安定には誠に非常に脆弱な性質の農産物と言える。

もし価格を安定させようとすれば、市場外の
なんらかの圧力や施策や介入が絶対必要。
政府の減反政策が悪いとかJAが悪いとかの
報道が多いけれど、問題はそんな単純ではない。

この需給バランスの年次グラフ(2023年)を
見る限りこれまで奇跡的に需給曲線が
同じくらいに右肩下がりだったことに
感動すら覚える。

昨年までお米は危険水域を超えるくらい
プロ農家がやっていけない赤字覚悟の
価格だった。5kg2200円は安過ぎた。
それが一転高騰。
やっとプロ農家がなんとかやっていける
価格と言うのは肌感覚で5kg3500〜4000円
くらいだろうか。
うちはずっと5k2962円(税抜)

消費者は価格に敏感だけど、我々農家が
価格に一喜一憂しているとすぐに
足元をすくわれかねない。

価格は上がるし下がる。
ひどく上がるしひどく下がる。
ニュースに踊らされ、価格に踊らされると
危険極まりない。
独自の経営判断がないと危ない危ない。

今のところ、うちが値上げも値下げも
しない理由は価格のあまりの上下動に対する
警戒感から。