小指の先ほど

お米を知りたいとお米のルーツ中国雲南省の
少数民族の米農家のところに何年も通った。
アジアのほとんどの国の農村にも足を
運んだ。
それだけではまだ足りない気がして
イタリアのミラノの米農家も訪ねた。

日本に稲が伝わって2500年とも3000年とも
言われている。
長い歴史と地域の多様性、数えきれない品種改良。
各地の食事や文化や宗教を取り込みながら
貨幣としての役割。

およそ一生勉強しても、いや勉強すれば
するほど稲も米のことを網羅することなど
できないと言うことを思い知らされて
悔しくてたまらない。

近づけば遠くなる深淵で巨大な存在に
出会い自分の持てる力を精一杯ぶつけて来れて
心からよかったとやっと思える。
30年作り続けてきても稲のことはまだまだ
小指の先程のこともわかってないことが
悔しくも楽しく感じる。